若手起業家のサイトを見ていたら、滑稽なことが目につく。やれ、信念だの、カネはあとからついてくるだの、プラス思考がどうの、気持ちだ、コーチングだ、理念だ、行動だ、自分を変えるだ、念ずれば叶うだの。挙句は『変顔』をオフィシャルサイトに掲載・・・。ほとんど『オカルト宗教か』と思ってしまう。会社を存続させるための重要なこととは程遠い。事業を存続させるために不可欠なものは信念でも行動でもない。もっと大事なことを勉強すべきだと感じる。これが、わかったら会社員の人も『事業存続のポイント』が1分で理解できるだろう。
【写真:事業に必要なものは粗利益である】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆事業で一番大事なものは・・・?
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
経費が粗利を上回る構図が続くと、会社は倒産する。
1、粗利益を上げること
2、経費を下げること
これだけ守れば、突発的なことがなければ会社は存続する。
経費を下げて、粗利が上がれば、事業は続くのである。
信念も、理念も、念ずれば叶うも、行動も、
コーチングも、自分を変えることも・・・。
ほとんど、関係がない。
大事なのは、
その事業が、本当に世の中に必要とされているか。
これを、常に、厳しく自問自答するのが経営者の仕事だ。
そのニーズを『どうやって伝えるか』も大事だが、
今日はテーマが異なるので省略したい。
繰り返すが『経費が粗利を上回る構図が続くと、事業は破たんする』のだ。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆事業が破綻(倒産)するのって、どんなとき?
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
経費が粗利を上回ると『いろんな形』で『破綻』を招く。
では、事業が破綻する要因を細かく挙げてみよう。
1、品質や商品力の弱さ
2、棚卸資産の増大
3、資金の固定化
4、売上の減少
5、借入金、金利負担の増大
6、経営陣の不在、能力不足
7、主力銀行の不在、撤退
8、担保余力の欠如
9、労務問題、人件費の高騰、圧迫
10、融通手形の振り出し
11、受取手形の不渡発生
12、売掛金の焦げ付き
13、工場の稼働低下
14、設備投資の失敗
15、会社・社長の過信、放漫経営
要は『粗利>経費』この図式を死守することだ。
私は、よく『中小企業と屏風は広げ過ぎたら倒れる』と訴えている。
何をもって広げ過ぎというか。
1、営業エリア
2、営業品目
カンタンに言えば『営業エリアと品目を絞ればいい』のである。
一見、多角経営は売上も上がって『やり手社長』の印象が付くが、
実際は『販売コスト』がかかってしまうのである。
この『販売コストが上がる』と『経費』に反映されて、
結果的に、粗利を圧迫する。
わかりやすくいうと『伸ばし過ぎた爪は、はがされるよ』だ。
粗利を確保するには『売上』がないと話にならない。
だが、信念だの行動だの気合いで『頑張る』ほど、
販促費や販売コストがかかってしまうのである。
気合いも、信念も、いらない。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆JALが2年半で再上場のV字回復したのは・・・?
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
極論だが『利益のために一部の売上を捨てた』のである。
1、不採算路線の廃止
2、保有機数の削減
3、人件費の削減
カンタンに説明しよう。
JASと経営統合で地方路線に手を出したが、
結果的に『不採算路線』がたくさんできて、
経営の足を引っ張った。
そこで、不採算路線を『バッサリ』と切り捨てた。
もちろん、不採算路線でも『売上』はあった。
だが、そこを伸ばすより『切り捨てる決断』をした。
路線数が減れば、機材も乗務員も地上職員も減らせられる。
従来の『基幹路線』のみ残し『いらない路線の売上を放棄』すれば、
コストが大幅に下がるのである。
そうすれば、利益が噴き出してくる。
私も、3駅を主体に営業しているが、
このところ、門真南駅の客数が年々低下して困っていた。
まぁ、それでも『そこそこ』の売上はあったのだが。
ここを、バッサリと切り捨てて『やりたい人』に任した。
私は『旧国鉄』ではないし、慈善事業者でもない。
門真南駅を捨てた分、
終電まではJR鴻池新田、
地下鉄長田の終電、近鉄東花園の終電と、
終電駅から『奈良方面』の『ドル箱路線』へと、
営業拠点の『立地条件』を変えた。
もちろん、何も特別な営業努力はやっていない。
JALに限らず『燃費が悪いB−747』は国内から全廃。
政府専用機(航空自衛隊所属)のB−747も間もなく引退だ。
軽量化された双発のジェット中型機が『今の主流』になっている。
関西人に、もっと身近な例は。
阪急電鉄に至っては8300系以後の車両を、
カリブ海に浮かぶ英国領の『ケイマン諸島』にある、
エス・アンド・エイチレイルウエイという、
鉄道車両のリース会社に転売して資金繰りを切り抜けた。
経営判断とは、こういうものだと思う。
JALも阪急も『信念』や『根性論』や『精神論』で、
経営再建などしていないし、
カネは後から付いてくるなど『呑気』なことはやっていない。
後から来るカネは『売掛金』しかないし、カネが勝手についてこない。
私も、不採算路線駅の待機をやめて、
ただ『立地条件を変更しただけ』だ。
カンタンに言えば『考え方を変えただけ』である。
何も労力を使わずに売上を維持している。
街場の本屋で見つけた本やおかしなセミナーなど行く必要はない。
主力商品を見極めて、
きちんと毎日営業して、
粗利を経費が上回らなければいいのだ。
どうしても勉強したいのなら・・・。
TSUTAYAにでも行って、
ミナミの帝王のDVDを10種類ほど借りてきて、
おせんべいでも食べながら眺めていたら、
十分に勉強になる。
信念、理念、行動も結構だが・・・。
売上、売上総利益、営業利益率、労働分配率、
不動産分配率、労働生産性、交叉比率・・・。
こういう言葉を知らないで『社長』とか言っている人がいるが。
そういう人こそ『くだらないセミナー』で骨抜きにされ、
結果的には『経営の「け」の字』も何もわかっていないのである。
粗利(売上総利益)> 経費
この構図を守っていただければ十分。
今、業績回復に向かっている企業も、
この構図を意識してもらえれば、
必ずV字回復できると信じている。
GOOD LUCK!
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
▼ちきりんの日記▼
http://d.hatena.ne.jp/Chikirin/
★なかなか、鋭い視点で、勉強になるよ★
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
※知的刺激の材料として活用いただくために、
あえて誤解を招くような過激な表現をしている場合もあります。
『こりゃ違うんじゃないか』と疑問に思うところから、
発想や気づきを深めるきっかけにしていただければ幸いです。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
Copyright:(C)2017 Ota-Tadashi All Rights Reserved.
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━<AD>━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
地下鉄:門真南駅/JR鴻池新田駅/京阪:門真市駅周辺での、
夜間タクシーのご用命はお気軽にお電話ください。
電話:080−6187−8665
・営業時間…18:00〜翌2:00
・定休日……毎週火曜日
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
※下記の広告は本記事とは無関係です。