●OTA(On The Air)

道楽、世間批評、いろいろと・・・。

★FM放送局を立ち上げた女性起業家

jf3tbm2005-06-14

【写真:番組の構成からミキサー、DJまですべて1人でこなす。『うちは少数精鋭です』とFMマザーシップ・代表取締役社長兼局長の坂口緑さん】




私の関係する『プルトップ回収事業』で、ひょんなことからつながりができた1人の女性起業家をご紹介します。この起業家は『地域に密着した、きめ細かい情報を提供する放送局をつくりたい・・・』という熱い思いを実現させた1人の主婦だった、坂口緑さん(和歌山県有田郡広川町在住)です。放送局開局のきっかけは阪神大震災。開局までの道は平坦ではなかったそうですが、ようやく人々の生活に根付きつつあるのを実感しているとのことです。ユニークな企画の『メディア・ビジネス事業』も順調に展開中です。さらに大きな放送局でさえ経営が難しいといわれる業界にありながら努力の甲斐あって、単年度黒字をたたき出したとか。<おめでとう♪>(メディア・ビジネスとは、放送時間枠を買取り、事業化していただくというものです。詳しく知りたい方は下記URLから、直接問合せてみてください)


◆FMマザーシップ:http://www.fm889.net/


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◆地域情報の必要性を震災で痛感し起業へ
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阪神大震災。たまたまつけたラジオが、一番被害の大
きかった神戸・長田の町をレポートする地元のコミュ
ニティFMの取り組みを放送していました。『父、ここ
に眠る』『体育館に避難しています』・・・。FMのレ
ポーターが、がれきの山と焼け野原になった長田を回
り、立てかけられている看板の伝言や連絡先などをひ
とつひとつ丁寧に読み上げ、細かな情報を伝える姿勢
に心を打たれました・・・と、坂口局長。





▲大阪の異業種交流会(いこう会:2004年6月9日)で講演する坂口緑さん
 『当時はコミュニティFMという言葉すら知らなかったんですよ』と笑う。




このとき、生活に直結する情報を伝える地域密着型FM
局の必要性を痛感されました。そう、和歌山は『南海
地震』の発生が懸念される地域だったんですよね。




よし、放送局を作ろう!




震災以来、胸にあったコミュニティFMへの思いが、
『あればいいな』から『自分でやろう』へと大きく動
いたんです。とはいえ、放送に関しては全くの素人。
片っ端から資料を集め、他の放送局を視察。『ことば』
の検定を受け、大阪のイベントプロデュース学校にも
通いました。開局に必要なノウハウを学んでゆく中で、
夢を後押ししてくれる仲間にも出会った。『開局した
い』から『開局できる』へと確信をつかむことに。




自分でつくろう……………………開局の夢に走る日々




コミュニティFMは開局するために国の免許が必要です。
免許申請手続きのため、何度も大阪の近畿総合通信局
に足を運ぶが『数年前に長年務めていた会計事務所を
辞めた「肩書きのない1人の主婦」。何しに来たんや
という感じでした』と坂口さんは語ります。




何しに来た・・・それはないよなぁ




企業や、行政が参画する第3セクターでの開局しか前
例がなかったので、総合通信局で繰り返されたのが、




『資金はあるか』
『どうやって運営していくのか』
自治体と交渉して3セクにしなさい』




既存のコミュニティFMのほとんどが『地域FM』とい
う性格上『放送区域を市町村内の1区域に限定』して
おり、坂口さんが考える広川、湯浅、吉備の3町にま
たがる広域放送は異例でした。(3町人口合計:約4万人)





▲海抜600mの鷲ヶ峰(和歌山県有田郡吉備町のコスモスパーク)から電波が送信され
 和歌山市から御坊市まで広い範囲で受信可能。




3町にまたがる理由を述べよ(役所らしい質問だ)




担当者から経営安定のために第3セクターでの設立を
勧められました。ところが、3町の役場をまわっても、
財政難から首を縦に振るところはありません。コミュ
ニティFMを知らない人もいれば、『テレビの時代に
いまさらラジオかいな』という人もいました。





▲FMマザーシップの送信所は『風力発電+自家発電』で行われ、
 災害時の準備も万全だ。




災害の時にはテレビは役に立たない




坂口さんには『阪神大震災の時、家が壊れ、ライフラ
インが途絶えた中で、電池ひとつで聞けるラジオがど
れだけ人を勇気づけたか』という思いがありました。




もう、個人でやるしかない




純民間での設立を決意し、株主を募り開局後の経営を
成り立たせる証としてスポンサーの承諾書に200社
の署名・捺印を集めに回りました。




形がないのに署名をしてくれたことが大きな支えに…




ここまでくると、首を縦に振らなかった広川・湯浅・
吉備3町からも協力書を取り付けることができたんで
すね。





▲マザーシップの経営を支えた初代の営業車
 局名が大きく描かれていて印象的だった。
 営業車はこれくらいやらなくきゃね♪




前を向き、ひたすら走り回る日々が続いた




構想から4年、2001年8月7日に予備免許、11
月26日、念願の本免許が発給されました。試験電波
を発射し、コールサインを読む坂口さんの声が流れる。




リスナーも、ラジオのある生活に根付き始めている




今では、地元に放送局ができたことを喜ぶリスナーの
声が日々届きます。乗車したタクシーの運転手さんが、
初めて入った喫茶店の店員が『聞いたことある声やな
あ、ひょっとして(マザーシップの)局長さんか?』
と気軽に声をかけてくれるようになりました。





▲『マイクの向こうには、支えてくれるリスナーさんがいます』と
 生放送中の坂口さん




確実に地域に根付いているんだ




計画当初はいぶかしむ人もたくさんいたといいます。


『行政に頼らず』
『女性で初めて』


こんなFM局への熱意が、今は少しずつ周りに受け入
れられるようになったのでしょう。『有田郡は地方独
特の閉鎖的なところがあって『有田の谷』って言われ
ているんです』。




この町でFM局をつくることにこだわった





▲和歌山では、元気いっぱいな放送が聞けます♪




有田を精神的に豊かで安心して暮らせる地域にしたい
その『有田の谷』にマザーシップの発信する声が今日
も響いています。
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★エフエム マザーシップは、88・9メガヘルツ。
 放送エリアは有田郡を中心に和歌山市から御坊市
 で広範囲で受信可能です。http://www.fm889.net/
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谷口集客技術研究所・谷口肇司(Taniguchi-Tadashi)
jf3tbm@yahoo.co.jp
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