●OTA(On The Air)

道楽、世間批評、いろいろと・・・。

●農村暮らしの落とし穴。

30年ほど前、京都の自動車ディーラーに勤務していた。その時の担当地域が亀岡市船井郡北桑田郡(現:南丹市京都市右京区の一部)だった。近年、その地域に『農村暮らしを夢見て移住した若夫婦』がウツになって帰ってきた。どうやら、想像していた以上に、しんどかったようだ。



【写真:丹波地方で、普段使いの挨拶だが・・・】


『きょうは、どこ行きよ?』が丹波地方でよく聞く挨拶だ。


直訳すれば『本日はどちらへお出かけでしょうか?』だ。
だが、丹波の人は『そんな意味では使っていない』のだ。
この問いに『スーパーマツモトに行って、どこそこに行って・・・』と、
バカ正直な答えをしていると『あ、そ』でおしまい。


『ちょっと、そこまで』が正答なのだ。


私は配属時に上司や先輩に付いて地域を回った際に、
『「どこ行き?」と聞かれてたら「そこまで」と答えるように』と、
相当、しつこく教えられた。


おかげで、地元の人には早く受け入れられた。


しっぽを巻いて帰ってきた人は、
その地方独特の習わしを知らずに飛び込み、
人間関係も希薄になったりして『孤立』してしまった。


想像以上に生活費がかかった。


野菜は『ほぼタダ』でもらえたり、
自給自足でイケるのだが、
それ以外のモノは『競争』がなく、
店は『殿さま商売』で高値で売る。


これは、意外に高くついたらしい。


田舎暮らしなので大阪で購入した乗用車を持ち込んだ。
スバルレガシィのツーリングワゴンで、
なかなか恰好のいい車だ。


フルタイム4WDだから『燃費が悪い』。


どこへ行くにも車移動になる。
近所のスーパーへ買い物といっても、
山を越えて30分近く走る。
大阪の友人が遊びに来ると、
最寄りの駅まで片道40分の道のりを送迎する。


大阪にいたときよりガソリン代がかかる。


さらに『地元の寄合い』に呼ばれた。
田舎だからジーパンとTシャツで参加したらしいのだが、
他の地元の人は、なぜかスーツでビシ!っとキメている。
当然、ジーパン&Tシャツは浮いてしまう。


加えて、面倒なことを頼まれる。


やれ、消防団だの青年団だの。
消防団に入れば人脈は広がるが、
定期的に消防訓練があって、
暑いさ中に消防服に身をまとい、
消防のホースを持って河原を走り回る。


くたくたになる。


消防訓練のときにレガシィで河原へ降りたのだが、
でかい石に片輪を乗り上げて、
着地する際にボディの底と駆動輪のシャフトを傷め、
かなり高額の修理代がかかった。


仕方なく、普段使い用の軽トラックを購入するハメに。


軽トラックは燃費がいいと思いがちだが、
そこそこ車重があるのと、
出来の悪いATでリッターあたり12kmそこそこ。
荷物を満載したらレガシィと大して燃費は変わらない。


とどめは冬。


少し高台に安価な農家の借家なのだが、
雪が降った日の深夜は凍結してしまい、
スタッドレスタイヤではグリップが効かない。
まぁ、後輪の上に肥料を100kgほど積めば、
チェーンなんかいらないのだが、
何もかもが初体験のこの人たちは、
数十mのためにチェーンを巻くか、
国道からぱくってきた凍結防止剤をばらまく。


音を上げたのは・・・。


ここの奥さんは『大のヘビ嫌い』。
ヘビの生息地に家があるという、
田舎の常識をわからなかった。
引き戸の隙間から幼蛇が家の中に入ってくるのは、
日常茶飯事だ。


もう、いや!


3年間、何とか地域に馴染もうと努力したそうだが、
精神的に参ってしまい大阪に戻ってきてしまったのである。
農村暮らしはトレンドっぽく伝えられているが、
専業農家で暮らせるほどは甘くない。
さらに『田舎のプロ』を相手に、
『田舎の素人1年生』が作った作物など売れない。
流通も『農協』や『近隣』との兼ね合いもあり、
勝手にネット通販をやったりしたら・・・。


独特の地域コミュニティでは『噂がすぐに広がる』のだ。


町から『憧れ』で来た人は『地域で斜に構えて見られている』。
結局は、一旦は否定したクリエイター系の仕事の下請けを、
ネットでやりとりして生計をつないだ。


だったら、都会暮らしの方がマシじゃないか。


特異な事例かも知れないが、
ある程度、下調べをして乗り込まないと、
単に田舎の人口が1〜2人増えるだけ・・・ということになる。
この若夫婦は貯金も底を突き、
作物が思ったより不作だったので大阪に戻る決断をした。


これから、農村暮らしをしようと思う人は少し参考にしてほしい。


ほんまかいな・・・


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 あえて誤解を招くような過激な表現をしている場合もあります。
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