●OTA(On The Air)

道楽、世間批評、いろいろと・・・。

●都会人の田舎移住を考える。

昼間の情報番組で『田舎移住コンシェルジュ』の紹介番組があった。いろんなコンシェルジュがいるものだなぁ・・・と少しびっくりした。コンシェルジュは、もともと『ホテルの案内係、旅行の相談、イベント情報の紹介、交通機関の予約など幅広いサービスをする』と広辞苑に載っていた。だが、移住とは『今までの都会生活を精算して、田舎に引っ込む』ということである。もちろん、都会と比較すれば住宅コストなどは破格だろうが、田舎をよく知らずに移住してしまうと『こんなはずじゃなかった』ということになる。



【写真:京・美山町の茅葺(かやぶき)の里は風光明媚だが・・・】
 ※屋根を見たら、この地域が冬は豪雪地帯であること瞭然だ。
  豪雪で孤立することもあるのだ。


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◆移住希望者の90%が『〜49歳』。
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田舎移住コンシェルジュを訪ねてくる人の90%が若い世代らしい。


それも20歳代〜40歳代が90%というから仰天した。
移住してきてほしい自治体は『きれいな面』ばかり見せる。
都会の人から見たら『田舎の人は素朴で優しいイメージ』だ。


だが、住むのと、遊びに行くのとでは扱いが違う。


何度も書いたが、田舎は『強烈なムラ社会』である。
ムラの行事に積極的に参加しないと、
3年〜5年は『まともに相手にしてもらえない』。
自分の勝手な都合で『その日は〇〇があって・・・』と欠席していたら、
いつまでたってもムラ社会に溶け込めないばかりか、
気がつけば『ムラ八分』は免れない。


地域差はあるが、どこも似たようなものだ。


コンシェルジュに相談しにくる人の相談内容は、


・どうやったら、住む家が見つかりますか?
・どうやったら、地元の人と馴染めますか?


呆れたのは『他人が敷いたレールに乗っかるしか考えが及ばない』。


私は思うのだが、都会でコミュニケーションが取れれば、
時間はかかるかも知れないが田舎でも馴染めるとは思う。
逆に言えば『都会ほどあっさりした人間関係』が上手くいかない人や、
都会で、上手くコミュニケションが取れないような未完成な人が、
田舎でコミュニケーションを取ったり馴染める理由がないじゃないか。


挨拶、礼儀、感謝・・・この積み上げで『信用』ができていく。


きちんと日々のご挨拶はもちろん、
盆暮れ正月のご挨拶などは欠かせない。
都会以上に高齢者が多く近年はお葬儀も増えている。
全くの他人であっても冠婚葬祭には必ず顔を出さないといけない。
また、選挙などは『重要なムラの行事』で『風習・慣例』に合わせないと、
これまた、何を言われるか知れたものではないのだ。
そこをいい加減にすると『都会人が思うほど優しくない』と感じるだろう。


言いかえれば『田舎には新参者のプライバシーなどない』のである。


最近、『半農半X』とかいう『へんてこな言葉』が流行っている。
要は、半分農業をやって、
半分は好きな仕事をしたらいい、ということらしい。


そんなもの、昔からある『ただの兼業農家』じゃないか?。


何を調子こいで、新語を作って値打ちこいでんねん、と思う。
わかりやすくいえば、農閑期にタクシー運転手をやって、
農繁期にはトラクターの運転をする。
こういう人も『うちの会社にいる』から『半農半X』が笑えてしまう。


移住は人の勝手だが『移住=生活の全てを移す』を忘れては失敗する。


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◆50歳代以上が移住を考えないわけ。
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40歳代と50歳代以上では大きく異なる点が多々ある。


・体力の低下
・50歳を過ぎたら、何らかの医療機関にかかっている
・移住しなくても、実家が田舎である(親の実家も含む)
・親の介護の問題
・あと数年で『定年』だから、粛々と勤め上げたい
・カネの問題(今の家の住宅ローンなど)
・子供の教育からまだ解放されない
・地域との交流や行事が面倒である
・買い物などの不便を感じる
・今さら、生活環境を変える気はない


もちろん40歳代と重なる点はあるが。


特に、体力低下、親の介護不安、医療機関の問題などが大きい。
さらに、田舎に行けば『たいくつ』なのだ。
飲みに行こうにも『飲み屋がない』くらい娯楽がない。
体力があって『百の仕事をこなせる百姓をする覚悟』があれば別だ。


ほったらかしで作物が育つなら北朝鮮で食糧難は起きなかった


都会では『そこそこのポジションを築いていた』としても、
田舎に移住したら『1年1組』の『新参者』でムラの寄り合いは末席である。
これがわかっていないと3年で『ぺしゃんこ』に潰される。


同業者の『T交通のKさん』は岡山と兵庫の県境近くの山あいに実家がある。


彼は、年齢が61歳で『見た目より若々しい』のだが、
今年から『実家の田畑の世話』をするために、
いわゆる『半農半タク』生活を始めたのだが、
思った以上に『体力の低下』を実感して、
結局は、田畑の世話は『外注さんに依頼することにした』という。


よく、定年後、年金生活に入ったら田舎でのんびり農業を・・・とか聞く。


テレビが『人生の楽園』なんぞで中高年世代の田舎移住を煽っているが、
田舎移住した『その後』の追跡は『やらない』。
長寿番組の『新婚さんいらっしゃい』も『その後』の追跡はやらない。


人生の楽園も、新婚さんも、生活が破綻している例があまりに多いからだ。


他人の人生をとやかく言う筋合いはないが、
単純に『都会生活に疲れた』とか『憧れ』程度では、
自然相手の田舎暮らしなど、とてもじゃないが続かない。
せいぜい、田舎の人と少しずつ仲良くなって、
少しの畑を借り受けて世話をし切れない分を、
地元の人にフォローしてもらうのが一番だろう。


田舎の人が都会人に厳しいのはなぜか?。


都会人が、都会の生活や価値観を『そのまま持ち込むから』である。
田舎には田舎の風習や決まりがある。
ムラの行事には『最優先で率先して参加して役立つべき』だし、
ましてや、地元の人にフォローしてもらいながら、
あたかも『自分の力でやった』ような『他人の手柄の横取り』をするような人は、
あたりまえだが、田舎に限らず『都会でも相手にされない』。


都会でも、町内会や自治会に参加していたか・・・?。


賃貸の集合住宅に住んで『お隣さんの顔も知らない』。
あるいは、町内会や自治会にも入っていない。
近隣の一斉掃除やドブ掃除などにも参加したことがない。
インターネットがあれば田舎でも仕事ができる・・・。


そんな考え方の移住希望者の90%が20〜40歳代?。


まぁ世間知らずなのかわからないが、
何度も繰り返すが、移住は『生活そのものを変えること』だ。
さらに言えば、田舎に行けば『近所のお年寄りのお世話』も、
自分から買って出るくらいじゃないと、
まともに受け入れてもらえないのは『火を見るより明らか』である。
まぁ、若いうちは取り返しもきくかも知れないが・・・。


それでも、田舎に移住したいですか?



私には、そんな芸当は無理である。


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▼ちきりんの日記▼
http://d.hatena.ne.jp/Chikirin/
★なかなか、鋭い視点で、勉強になるよ★
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 あえて誤解を招くような過激な表現をしている場合もあります。
 『こりゃ違うんじゃないか』と疑問に思うところから、
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