大阪中央区、谷町四丁目から中央大通りを西に向かうと『農人橋(のうにんばし)』という橋がある。この橋は、豊臣時代に掘削された『東横堀川』に架かっているのだが、なかなかユニークな逸話が伝えられている。もともと、農人橋はなかった。巨大な大坂城を築城し、城に関係する人は多かったのは想像してもわかる。人が多いと食糧がたくさん必要だ。四天王寺の東側が『寺田町』と言われるくらいだから、大きな城や寺があるところには、周辺に田畑があったのが目に浮かぶ。さて、大坂城より西側に田畑が広がり、そこへ向かう農民は『本町橋』などに迂回して農作業に向かっていた。昔、橋は『民間架橋』だったのだが、農民の作業性向上のために公費を使って『公儀橋(こうぎばし)』を架橋した。農民専用の橋だったので『農人橋』と名付けられ、現在も『地名』として残り、拡幅された中央大通りを横切る東横堀川にも『農人橋』の名前で橋が架かっている。
【写真:橋も残り、町名でも『農人橋』が残っている】
ところで、農人橋は『のうにん・ばし』と読む。
タクシーの仕事をしていると、
一日、何回も『いろんな橋』を渡る。
ここで、ひとつの疑問が出てきた。
橋でも『はし』と読む橋と『ばし』と読む橋があるのはなぜ?。
ベテランのタクシードライバーに聞いても、
何も疑問を持たずに『ただの地名』『目印』程度の認識で、
まともな答えは出てこなかった。
聞いたのが間違いだった。
くだんの東横堀川には・・・。
葭屋橋、今橋、高麗橋、平野橋、大手橋、本町橋、
農人橋、久宝寺橋、安堂寺橋、末吉橋、
九之助橋、東堀橋、瓦屋橋、上大和橋・・・、
14箇所の全ての橋が『〜ばし』と濁点だ。
京阪電車に乗っていても、
京橋、天満橋、北浜、淀屋橋と、
北浜以外の『〜橋』が付く駅名は『〜ばし』だ。
ところが・・・。
枚方大橋、鳥飼大橋、豊里大橋、菅原城北大橋、十三大橋など、
〜大橋は『おおはし』と読む。
『はし』と『ばし』の読み方が異なるのが気になりだした。
育った町、京都の桂には『桂大橋』が架かっているが、
ここには『かつらはし』と書かれていた記憶がある。
ようわからん・・・。
いろいろ調べていくと『諸説』あるものの、
例の農人橋は『農人=名詞』+『橋=名詞』=『〜ばし』
つまり『名詞+名詞=ばし』と『橋』の発音に濁点がつくのがわかった。
〜大橋の場合『大=接頭語』+『橋=名詞』=『〜はし』。
例外もあって『京橋駅近くの桜小橋』は『さくら・こ・ばし』。
理由にまでは行きついていないが。
発音がたやすいような読み方にしたのだろうと思う。
農人橋の近くには『いろいろおもしろい歴史』が垣間見える。
背割り下水という民家と民家の背中(家の裏)に下水を作り、
排水を構築したのも豊臣時代に完成されていて、
その名残はもちろん『今も、現役の下水道』として、
400年前の下水道が『そのまま』使われているのがすごい。
大阪城周辺には『まち歩き』のネタが満載である。
大阪に住んでいながら『へぇ〜、知らんかったわ〜』という、
おもしろい名所がたくさん残っている。
暖かくなったら『大阪好きな人たち』と、
久しぶりに『まち歩き』をしてみたいと思っている。
たかが、1〜2km四方に『歴史』が満載なのだ。
大阪好きには『たまらないネタ』を探ってみるのは、
本当におもしろいのである。
真田丸、吉本、タコ焼きだけが大阪ではないのを強調したい。
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あえて誤解を招くような過激な表現をしている場合もあります。
『こりゃ違うんじゃないか』と疑問に思うところから、
発想や気づきを深めるきっかけにしていただければ幸いです。
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