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●目的や目標と手段を混同すると、取り返しがつかない。

アマチュア無線の運用を俯瞰してみると、ただの通信手段が目的化しているケースが結構多いなぁと感じる。バンド・モードなどは、冷たい言い方だが『ただの手段の選択肢』に過ぎない。どうも、この辺がわかっていない局が増えたように思うのは私だけだろうか。

【写真:CW(電信)も、通信手段のひとつに過ぎないのだ】
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◆目的→目標→目標達成の手段選択、というのが本質ではないか?。
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辞書で『手段』を調べてみたら、

目的や目標を達するための、具体的なやり方と載っていた。

まぁ、普通語で言えば『手だて』『術(すべ)』ってなところだ。

 

では、アマチュア無線の『目的』とはどんなものだろうか。

 

金銭上の利益のためでなく、専ら個人的な無線技術の興味によつて自己訓練、通信及び技術的研究の業務を行う無線局(同規則第4条第1項第24号)

 

このようにアマチュア無線局の目的が電波法で定義づけされている。

 

CW(電信=モールス通信)に関しては、

何とかギリギリ『自己訓練』と『技術的・・・』に該当すると考える。

だが、やはり『無線通信の探求』となれば『手段』に過ぎない。

 

1、目的設定

2、目標設定

3、手段の選択

 

こうやって書くと、

いちいち個別に目的設定しないといけないように見えるが、

すでに、電波法で定義づけしてくれているのだから、

考える手間が省けるので、『目標設定』と『手段の選択』だけでいい。

 

1、戦略

2、戦術

3、作戦

 

どんな場面でも『この流れ』を守るべき事柄だ。

 

戦術の失敗は、戦略でカバーできるが、

戦略の失敗は、戦術ではカバーできない。

これは、先の大戦で日本は痛いほど味わった。

 

私は、無線運用の90%をFT8(デジタルモード)を使っている。

 

このモードはSSBが占有する3kHz(3,000Hz)の間に、

計算上60局が運用できる。(1局=50Hz占有×60局=3,000Hz)

まぁ、ここまでだと、CWと比較しても『ふーん、そうなの』だ。

 

おもしろいのは、ここからである。

 

私がCQ(不特定多数呼出)のデータ送信を行うと、

電波が届いている限り、3,000Hz内にいる『全アマチュア局』が、

私のCQをデコード(解析)してPC画面上に表示される。

聞いているのは60局どころではない。

もう、ほとんど大陸間弾道弾で絨毯爆撃をするようなもの。

 

戦時中のB29が本土空襲で絨毯爆撃を狙ったとき・・・。

 

『敵機編隊約100機が紀伊水道を目下北上中。

 間もなく大阪に到達するものと思われます。以上、中部軍司令』と、

空襲警報のラジオ放送が流れたと聞くが、

B29は戦略爆撃機と呼ばれるくらい『戦略に特化した爆撃機だった』。

 

戦略とは何か?。

 

ビジネス書の多くは『将軍の知恵』と書いているのだが、

これだと、なんのことだかよくわからない。

私風に解釈すると『戦いを省略する、つまり戦わない戦い方』だ。

 

CWやSSBなどのレガシーモードは・・・。

 

残念ながら、とてもじゃないが戦略爆撃機にはなりえない。

せいぜい、航空母艦から飛び立った小型のグラマンあたりで、

できることといえば、局地的な機銃掃射程度である。

 

米軍は、B29を戦略爆撃機と定義づけたのは・・・。

 

日本の高射砲も迎撃機もやってこない10,000m上空から、

クラスター状に束ねたナパーム弾をくまなく投下し、

町全体を無差別に焦土化して日本人の戦意を喪失させられる。

さらに、生き残った市民も無差別にやっつけるために、

戦術型のグラマンを飛び立たせ機銃掃射を食らわせた。

 

・B29=戦略爆撃機=FT8などのデジタルモード

グラマン=戦術戦闘機=CW、SSBなどのレガシーモード

 

どっちが優れているとか、そういった相対比較の話しではない。

要は、FT8であれ、CWやSSBであれ『目標達成のための「手段」』だ。

 

1、アワード(特にDX系)

2、自作、実験

3、ラグチュー(電信電話ごっこ

 

アマチュア無線を長続きさせるには、

できれば、上記3つをバランスよくこなしながら運用することだ。

どれか1つに特化しても、ある程度は続けられるが、

やはり、何十年も飽きずにアマチュア無線を長続きさせている局は、

アワードを主目標に置いている。

 

今は、FT8はじめデジタルモードが優勢で相当に普及している。

 

なぜなら、戦略爆撃機的要素が強く、

アワードを進めるための『速度』が、

従来のレガシーモードとは比較にならないくらい速い。

CWやSSBだと3年かかるアワードが、

デジタルモードだと、3か月で達成できることも珍しくない。

実際、私もやってみて、達成速度の速さに仰天した。

 

CWやSSBのレガシーモードを否定しようというのではない。

 

アワードをやっていると、

同じ局とでもFT8とSSBでは交信できているがCWがまだ、そんなこともある。

それを『マス埋め』で埋めていくのだが、

そのためには、事務処理能力も多少は要求される。

 

1、情報力

2、事務処理能力

3、分析力

 

こうやって並べると、普通の社会人なら誰もが持っているスキルだ。

 

ひとつのモードやバンドに拘る(こだわる)のも結構だが、

拘りが出た時点で、多くの人が思考停止に陥ってしまう。

こうなると周囲が見えず『井の中の蛙大海を知らず』である。

 

目的や目標と手段を混同すると、取り返しがつかない。

 

かつての7MHz帯は7.000~7.100MHzのたった100kHzしかなかった。

・CW=7.000~7.030の30kHzに500Hzごと交信=60局分

・SSB=7.030~7.100の70kHzに3kHzごと交信=23局分

・FT8=7.041と7.074、それぞれ3kHz帯域に50Hzごと=各60局×2=120局分

ものすごいことが、2017年を境に始まったといっても過言ではないだろう。

 

FT8でDXを伸ばしつつ、レガシーモードも楽しむ。

これが、バランスの取れた運用法だと、私は思っている。

ひとつに偏って、長続きした人を私は知らないのである。

 

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